短い文章(お題なし)上から破パチ、屁天、ボビュ、ボボソフ、ライパチ


風がふわりと頬を撫でる。
「おやびん。風、気持ちいいですね」
「そーだろ。オレここ好きだし」
今は優しい歌を奏でる草原、あなたの好きな場所。
それでもいつかは、刺すような冷たい風の吹く時が来るだろう。
「…冬がきたらここも寒くなりますよね」
「なんだ、今からもう冬のことなんて考えてんのか?」
確かに、おかしいのかもしれない。
この草原が冬を迎える時俺はあなたの隣にいるだろうか。
「この辺りは大して寒くなんねーって。お前、冬は嫌いか?」
なあ、とこっちを見てあなたが言うから、微笑んで首を振った。

いいえ、どんなに寒くたって。
あなたの側なら俺はいくらでも幸せになれる。
だから次に来る冬も、その先の未来も、あなたの隣で過ごせたらいいのに。


「…な、天の助。トレーニングしたいんだ、俺の技…手伝ってくれないか?」
「ん、ヘッポコ丸…いーけどなんでオレ?」
「俺、その…足引っ張ってばっかだしさ」
「そーかぁ?んなことないと思うけどな」
本当にそう思ってくれてるのか、優しさなのか、解りやすいようで解らない。
「…ボーボボさんとかより弱いし」
「そりゃオマエ、比べたらの話だろ。弱くないって。運悪いしちょっとヘタレだけどな」
「…それ、お前だって負けてないだろっ!」
「ハハ、悪い悪い」
多分俺は、好き、なんだ。
対等に話してくれて、考えてくれて、認めてくれて。
優しかったりふざけてきたりが上手で、俺のことをよく知っていて。
そんな風に自惚れてふと思うのは、俺の方はどうなんだってことだ。

思うように理解できないのも、器用に甘えられないのも、痛いくらいもどかしい。


「ボーボボはさ、背、大きいよね」
「そうか?まあ年齢といっしょに背も伸びるからな」
「それにしたって大きいよー」
「ビュティだってまだこれから伸びるだろ」
「でもボーボボと同じくらいにはなれないよね」
「個人差というのはあるからな。気にするな」
「うん…」
「身長が違うし、性格が違うし、見えるものも違う。そういうもんだ」
「…じゃあ、わたしだから見えるものってあるのかなあ」
「ああ。その時は、よかったら教えてくれ」
「うん!」
違う身長、違う性格、違うものを見る違う人間。
でも違うから、こうして背中を追いかけることだってできる。
すこし小さいわたしの歩幅に合わせて歩いてくれる、あなたの背中。


大切なものを託すなら、それだけ認められる相手に。
この背中を預けるなら、それだけ信じられる相手に。
「少しずつ敵方も強くなっている」
「そうだな」
「…ボーボボ。お前が、狙われている」
「向かってくるならば戦うだけだ」
理屈ではないから言わない。
そのはずが今こうして、俺の方が弱音を吐く。
「だがあまり無茶はするな」
「しかしソフトン、狙われているのは俺だからな」
危ういからと、後ろにいられるような男ではない。
よく知っているのに、俺が弱音を吐くのは。
「…お前なら大丈夫だとは思う。それでもだ」
「ああ。するべきことはする、無謀な真似はしないさ」
認めていないんじゃない。信じていないんじゃない。
ただ、どうか失いたくないと思うことだけは許してくれ。
心にとどめたまま、お前の背中は俺が守るから。


呪縛から解放されて、自由になった。
(ボーボボさんはどうしてるかな)
この自分、ライスに勝った男だ。簡単にどうにかなるものか。
(首領パッチ先輩はどうしてるかな)
楽しい人だった。ボーボボさん達と、どんな旅をしてるんだろうか。
ずっと追いかけてきた人
ずっと思うだけだった人。
敵として戦ったことに後悔などない。
(それに、こうして助けてもらったんだもんな)
本当は、もっと話してみたかった。
自分のことを話すのもいいし、できるなら話を聞くのもいい。
もう行ってしまったのだと思うとよけいにそう感じる。
話をしてみたい。隣に座ってみたい。
楽しいようなことを、くだらないようなことを、一緒にしてみたい。
「…せんぱい」
あなたに、また、逢いたい。





どれも短めです。
こういう短い文章を書くのが、かなり好きです。

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