短い文章(お題なし)上からボーボボ一行混合、ハイドレード、四世、ジェダ+TOKI





てを
つなぐ

ゆっくりと



てをつなぐ
てをつなぐと言うにはあまりに不格好な体勢で
てをつなぐと言うよりは抱き上げるようにして
そしてほとんど触れているだけ
それでもこちらを振り向いたかと思うと
機嫌の良さそうな顔をしてぱたぱたとその、『て』を振るので
それを握るこちらの手も合わせてやると
きゃっきゃと笑う

いつまでも抱いているべきなのだと
そんな気がした


てをつなぐ
あなたが伸ばしてくれたてを掴む
あなたがこちらに向けてくれる
俺の言葉などでは言い表せないような光をつかむ
あなたは俺の手をひいて
ひいてひいてたまにおして
何もかもを超えたたくさんのものを与えてくれて
何もかもを超えてどこまでも連れていってくれる

俺がひかれているのは小さなあなた
けれども俺をひいてひきつけて止まないどこまでも大きなあなた


てをつなぐ
差し出されたてをつなぐ
柔らかく真っ直ぐに望んでくるそのてをつなぐ
例えば温もりだとか
そんなものを与えられているかどうか解らないけれど
お前は笑って
もっとぎゅっと
重ねるようにそう望んだ

どこまでいったらいいのか解らない俺のては
ぶんぶんと振り回されながら暖かな溜息をつく


てをつなぐ
てをつなぐ
てをつなぐまでいけずに
てをつなぐかわりに
てにふれる
ゆびさきでふれる
思っていたよりもずっとあたたかくて
思っていたよりか柔らかかった

そんな精一杯に気付いたあなたは
不思議そうに首をかしげてなんだか可愛らしかった



てをつなぐ
ゆっくりと
どこかぎこちなく
どこかはっきりと

てをつないで
どこまでいこうか





もちろん
どこまでだって












憎い
憎たらしい
忘れられない程に
気の遠くなるぐらい前から
どこまでも見えぬ明日の先まで
忘れられないほどに
あなたがにくい

少しでもいいから笑ってくれればよかったのに
少しでもいいから愛撫してくれればよかったのに
少しでもいいから抱き締めてくれればよかったのに
少しでも
少しでもいいから

私はあなたの笑顔を知らない
私はあなたの温もりを知らない
私は私よりも幾らか細かったその腕が
どんな風に人と接するのかも知れない
許されなかったことばかりを知って
そして何の光も知らせてはくれなかった

あなたがにくい
あなたを取り巻くものがにくい
あなたを愛し慕うものがあるならにくい
あなたがかなしい
あなたがいとしい


気の遠くなるぐらい前から
どこまでも見えぬ明日の先まで
忘れられないほどにずっと
ずっと

少しでもいいから愛してほしかった




ほんの少し
伝えてくれるだけでよかったのに













夢の中の彼奴は決して嘆き声をあげない。
ただ強い強いとても強い哀しそうな瞳をして、それだけを確かに佇んでいるのだ。




夢の中の私は今よりもずっと身軽でいる。
日々立ち続ける場所にまだ立っていなかった頃のこと、
日々背負うものたちを背負ってはいなかった頃のこと、
重い鎧にも重い名にも輝かしい栄光にも繋がりきってはいなかった頃のこと。
あの頃の私は幸せだった。
約束された未来に向け、どこまでも幸せでいた。
それならば今はそうではないのかといえば無論そんなことはない。

けれどもあの頃の私の夢の中に、
彼奴は暮らしてはいなかった。

夢の中の彼奴は決して嘆き声をあげない。
ただ強い強いとても強い哀しそうな瞳をして、それだけを確かにして佇んでいるだけ。
私の知っているもの。
私の知らなかったもの。
やがて私はじっとしてはいられなくなり、そこで全ては弾けるのだ。
虚ろの中にどんな感情を抱いたか覚えてはいない。
呼吸を荒げながら目覚める。全ては息苦しさに姿を変えてしまう。
何も残らない。

何も残さなかったから。


現実の私はじっとしてはいなかった。
道を辿り、あることを定めてそれに従った。
必要だった。
必要だった。
必要だったのだ。
必要、だった。

現実の彼奴はきっと何より私を憎みながら、闇の底へと消えていった。






「…四世様。四世様ー?」
「……ん。……お、れは…何……をしていた…?」
「眠ってらっしゃいました」
「…ああ、ああそうだ。考え事をして…マコちゃんが庭園の花を綺麗だと褒めていたから」
「はぁ……」
「どうやって城内に飾ろうか悩んでいる内に…」
「……四世様。ええと、それはもしかしてちょっと違ったのでは」
「…なぜだ?オクトパスカル」
「四世様、昨日そうやって花を切ろうとしてマコちゃん様に怒られてしまわれたんじゃあないですか」
「…そうだったか」
「…確かそうでした」
「そうか。…お前は、よく出来た側近だ」
「四世様、花ならせっかくですからお二人でまたご覧になってくれば」
「なんだ、気を遣っているのか?今さっきまで何かとうるさかったのにな」
「さっきって、もう随分前ですよ。それを覚えてらっしゃるんなら良かった…
 …お仕事は後にでも慌てればできますけど、雨上がりの庭はとりあえず今が見頃ですよ」
「雨…?」
「朝から降ってたでしょう。今さっきですけど、あがりました」
「……そう、か」

そういえば少しばかり空気の軽くなったのを感じる。
瞳を閉じれば、
ああ、

ただ強い強いとても強いあの瞳が蘇ってきた。

「…オクトパスカルよ」
「はい?」
「俺が、もし……」
「四世様が、もし?」
「…いや。忘れてくれ」
「忘れてくれって…そんな。四世様のお言葉をそうそう忘れるもんですか」
「ならば続きを考えよう。俺がもしいつまでも戻ってこなかったら、ひとまずこれとこの書類はねんちゃくに」
「ねんちゃく様ですか?」
「血を騒がしている頃だろう」
「…決定戦、近いですもんねぇ。あと闇夜叉様も」
「奴がどうした?」
「あーそれがその、ブロックの方の関係者を部下として拾ったとか何とか…」
「…そうか。それも好きにさせておけばいい」

詫びよう、愛しいものたちよ
私はただ詫びよう
そして詫び終えたら
全てを息苦しさに変えて
また約束された玉座へと戻ってゆくのだ
永久に此処に刻まれ続けることを望みながら


「あの四世様、ほんとにどこか具合でも…?」
「…いや。マコちゃんには何も言うなよ、心配させるから」
「言わなくたって、気付かれるかも知れませんよ。だって奥様ですもん」
「ねんちゃくにも何も言うなよ」
「四世様はねんちゃく様のことを気に入ってらっしゃるのに」
「だからだ」
「それじゃ私は?」
「お前の代わりはない」
「いやー、照れるなぁー」

ああ、その通りだ。
お前は私よりずっと長い間たくさんのことを知り続け、
恐らくは私のことを私よりも知っており、
ずっと、
ずっと、
もしかすれば彼奴のことすらも。


「空は、どれだけ晴れたか…」
「たぶん当分雨は来ませんよ」
「だといいがな」
「ここ数日、降っては止みでしたもんねー」


詫びよう、愛しいものたちよ。
それでも何も曝せはしない。
例え何が起ころうとも、息苦しさが続こうとも、
私は何も曝しはしない。
全ては小さな箱の中。






繰り返して私の名を呼ぶ声を、
そうだ。
私は突き放したのだ。













例えばある幾人かの一般隊員達が、彼を涼しげな寧ろ冷たい男であろうと評する。
彼の起こす風の技。
形あるものを切り裂く刃。
踊らぬ表情は氷によく似合い、大鎌を腕に佇む姿は髪の先まで近寄り難い。

『その涙すら凍るだろう』

そう噂される先には必ず己の名が出ると聞く。
溶けぬ氷のその中に、例え沈もうとも生きるもの。






夏の国の男でありたい。
始め砂浜の片隅に存在理由を成したのだから、そんな風に考えるのも当然のことだ。
自分は夏の中に生まれ、夏の中に生き、そして夏の中に華々しく散るために在ったのだ。
今現在砂浜に生きてはいないということはそれを諦めたということだが、しかし焦がれる想いは変わらない。
夏の国に生き続けていたい。
ところがこの身は極寒にこそ強く、己を知る者は皆冬の訪れとともに笑ってくれる。
あなたの季節が来ましたね。
夏の訪れとともに気を遣ってくれる。
太陽を避けなくてはと、日陰を作ってもくれる。

もう幾度繰り返しただろうか。
この身はただひとつの、夏の下に生まれたというのに。

「いやァ、地面が冷えて冷えてかないまへんな」
「そうだな…」
「生きモンの気配もここらじゃサッパリや。どうやろ、今日は風は強いんか」
「本部とでも比べたなら、少し」
低くしかしやや細い声色で、彼は確実に応えてはくれる。
己には風の声は解らない。
彼ならば解る。
寒々としたこの地は恐らくは、冷気に染まった風に慣れているのだろう。
彼ならばそれが解る。
「他のお人等が心配やなぁ…」
普段から薄着のレムなど、いくら何でも防寒着を持って来ているであろう。
だがそれも忘れて眠ってしまったならば大変だ。
彼女と行動しているのは誰だったろうか、誰にせよ誰かといるなら問題は無いだろうと思いたい。
「ジェダはんは如何なんです、コートでもジャケットでも」
「鎧の上から?」
「…うーん。変やろか」
「悪くはないが、これもそれなりに暖かいからねぇ。それに…」
ただ前を向いていただけの男、風神のジェダは、初めてその視線をこちらへと向けてきた。
「…寒いのには慣れているとは言っても。宇治金TOKIO、お前程じゃあないだろうな」
「いやァ」
その通り。
「上着要らずですわ」
己から連想するのは夏の文字であっても、栄えるべきは冬であると誰もが言うだろう。
砂浜も海も最早己のものではない。
「海やらのイメージはあれやな、すっかりコンバットはんあたりに取られてもうて」
「海…」
「そうそう、そうや。あんお人は足がつかへんと泳げんって言うんで、
 まあ教えてあげられたらいいんやけど生憎ワイも泳ぐんはちょっと…」
「零れるから?」
「その上に溶けてまいますわ。カキ氷は泳ぎながらじゃなくて熱い砂浜の上で食うもんやなぁ」
「…夏場か」
冬の寒空の下でするべき会話ではないが、しかし悪くない。
夏を思わせるものなら何でもが楽しかった。
宇治金TOKIOにとって、冬はただ寒さを思わせる季節ではない。
己に反する季節。夏の砂浜でその瞬間のために生まれた自分には、あってはならなかった時間。

不思議なものだ。
彼と、風神のジェダと夏の話をする。

例えばある幾人かの一般隊員達は、彼を涼しげな寧ろ冷たい男であろうと評する。
そうした言葉の後には己の名が出てきた。
あの方達はまったくタイプが違うけれど、しかし冬が似合うよなあと。

ジェダは冷たいだけの男ではない。
恐ろしく強いだけの男ではない。
彼は時折静かに泣いている。
自分自身ではなく誰かの為に、声にまではうつらぬ涙を流している。
そしてそれを自覚しながらも、溶けぬ氷にも挑む力とただ挑むのみではない力を見せるのだ。

彼の涙は凍らない。
だからジェダをただ強く冷たいのだと評するならばそれは間違いだと思ったし、
夏空の下に溶けていく度に彼が羨ましかった。
彼ならば例え氷の体を持っていたとしても守り抜くだろう。
その身も、誇りも。
己は人影の無い冬の砂浜にも切なく生き長らえ、そしてあまりに強い太陽の下にはすり減っていくのだ。
何かを諦めたあの日と比べれば、確実に力は付けたものの。


風鎌真拳とは冷風のみを扱うものではない。
ジェダという男が氷を思わせる理由の内には、彼が氷上を戦いの場として選ぶことがあったからだろう。
己は選ばない。それがどんなに有利だと理解しても、選ばなかった。
「ジェダはんはあれやな、寒かろうと暑かろうと平気そうにしてるやないか」
「そんなことはない。寒い時は寒いし、暑い時は暑いさ」
「なんだって冷静でいられるっちゅーのは大したもんやがな。ワイはあきまへん」
「…なぜ?」
「いやァ。あきまへんのや」

夏の国の男になりたい。
照り続ける太陽の下に輝いていたいのだという想いを、捨て切れずにいられない。
普通よりなお炎に弱いのを構わないとしても、愛すべき太陽に嫌われるのではあまりに哀しいではないか。
それでもこの身は繰り返し弱る。
身近な筈の蝉の声も遠のく場所で、スターセイバーやチスイスイが無茶はしないでくれと自分を叱る。
心配をしてくれる。
彼らは己の果てぬ願いを知って、だからこそ、止めはせずに心配をしてくれる。

カキ氷としての一生を全うすることは諦めた。
それでも夏の国の男になりたい。
熱い砂浜の上にこそ、己は産まれてきたのだから。

「…俺は、駄目なんてことはないと思うがねぇ」
ぽつんと、低く穏やかな呟きが返ってきた。
「お前には太陽がよく似合うよ」
「…だったら、ええなァ」

おおきに、強くて優しいお人。
優しくて強い、逞しくて騒がしいお人達。
あんさんらなら何にだって立ち向かっていけるわ。
ワイもこの身体で、
理解をしていて、
それでも立ち向かわずにはいられんのや。
やれるとこまではやってみましょと、そう思うことも出来るんや。


「…次に迎える夏は、何時ごろになるやろか」
「何時だって構わないさ。夏は夏…」
「…そうやなー」
「世界が滅びてでもいなければ、な」
「いやー、そりゃあかんわァ」



溶けぬ氷に包まれる日を待ちながら、既に目覚めるその日を夢に見る。

彼は冷たいだけの男ではない。
強いだけの男でもない。
誰もがそうではない。
だから何時か訪れる遠い夏の日も、彼らとともに輝き続けていきたかった。










ボーボボ一行はソフ&田、破&パチ、屁&天、ビュ&ボということで…いうことでした…
某兄弟はどちらも何かあれで申し訳ないです。オクトパスカルと四世のコンビが好きです(そして夫妻も好き)
ジェダと宇治金TOKIOは、彼らというキャラクターに頭を捻りつつ…も、申し訳ない。
TOKIが夏好き冬嫌いだったり冷凍睡眠がよろしくなかったりというのがレペメケにあって、そこから妄想をしました。

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