短い文章(お題なし)上から破パチ、破パチ、破パチ、OVER天、闇夜叉+カツ天?




「おやびん。お願いがあるんですが」
「なにー?」
「俺のマフラーがあるでしょう」
「うん、あるな」
「おやびんに巻いてほしいんです」
「え?別にほどけてねぇけど」
「いえ、一度俺が自分でほどきます。そこであらためておやびんに巻いてほしいんです」
「へー」
「そこが重要なんです」
「わかった。ま、いいだろ」
「それから、もうひとつ」
「今度はなんだ?」
「俺のシャツにポケットがあるでしょう」
「うん、あるな」
「おやびんに縫い付けてしまってほしいんです」
「そんなことしたらポケットの意味ねぇぞ」
「いえ、何も入れられないようにしたいんです。入ってこないようにしてほしいんです」
「へー」
「そこが大切なんです」
「わかった。ま、いいけど」

「本当はベルトもお願いしたいと思ったんですが」
「うーん、それはちょっと微妙なモンがあるなぁ」
「そうでしょう。構わない気もするんですが、あとシャツそのものとかズボンとかもまずいだろうって」
「ヤダ、エッチ!」
「下着なんてもっとまずいですよね」
「エッチねー」
「もちろんそこまでは話だけですから」
「ふーん。ま、ダメとは言わね」

「それから最後に」
「なんだ、まだあるのか?」
「はい。これで最後ですから。これはいつでもいいんですが、もちろん今でも」
「へー」
「ああ、でもできればマフラーとポケットの後がいいかもしれません」
「で、なんだよ?」

「俺の心臓に鍵をかけてくれませんか」

「頭の上から足の先まであなたの手で俺を縛りなおして」

「最後に俺の心臓を締めてくれませんか」

「ふーん」
「どうでしょう。駄目ですか、おやびん」
「そうだなぁ」
「すぐにとは言わないですから」

「ところでその鍵、針金通したら開くの?」
「さあ…俺、ピッキングはしたことなくて」
「ふーん」

おしまい。








奴は立っていればずいぶん大きな男だ。
真っ直ぐ背筋を伸ばして正面を向かれたら、背伸びしたって目を合わすことはないだろう。
けれども俺が奴に目を向ければ、必ずと言って間違いないほど視線が向き合う。
何秒も経たない内に。
何秒どころか一瞬すら要らないこともある。俺が奴を見る前から、奴が俺を見ているのだ。

奴はこちらを見る時、かがんで背を丸めるか視線を落としてくる。
今は、かがんでいる。
紫と白のマフラーがたれているのが見える。


「なあ、お前暑くねえの?それ」
「それ?…ああ、マフラーですか?」
首領パッチが指したそれを、破天荒は己の手ですくいあげた。
「慣れてると、そうでも」
「慣れると暑くなくなるのか」
「無いと首がスースーしますね」
「ふーん」
しかし二人を取り巻いている空気は熱い。
すうすう、という響きはむしろ涼しげで心地良いのではないだろうか。
「気付いてないだけで、汗だくなんじゃねーか?」
「水気は…ないですけど」

「貸してみ」
「え」

かがんだ破天荒のその手から、小さな手がマフラーの端を奪い去った。
己の方向に手繰り寄せ、幾らか身を近付けて、鼻先に触れない程度に寄せる。

「…ホントだ。濡れてないし」
「……」
「ん?ああ、いきなり悪かったな」
首領パッチはマフラーから手を離し、太陽のある方を見上げた。
この暑いのに大したもんだ。
でかしたと、褒めてやろうかと思えば。

破天荒は顔を赤くして、薄らと頬に汗をかいていた。

「なんだよ、残念賞ー」
「…ああ、あの…すみません」
「まあ、次ガンバレ」
「は、はいっ」
慌てたのか、びしりと物凄い勢いで立ち上がる。
背筋を伸ばして正面どころか上を向く。
まだ顔が赤いようでそうでもないようで、首領パッチからは見えなくなった。
どちらもそのまま動かない。


奴は立っていればずいぶん大きい男で、俺の三倍か四倍ほどはあるだろう。
だからこうしていると目が合わない。

どうしてか、感じ慣れた視線を待つのは気分の良いものでもなかった。
暑さのせいだろうか。
飛び上がるなり台に乗るなり何なりで、こちらから奴を見るのもいいかもしれない。
方法など幾らでもある。ただ普段は何も思わなくても視線が合うものだから、必要ないだけだ。

季節外れのマフラーが服に薄らと作る影を見上げながら、
首領パッチはぼんやり考えていた。








好きです
あなたが好きです
誰よりも
何よりも
例えば俺自身よりも
ずっとずっと好きです

幾つもの意味で好きです
心が痛むほど
体が痺れるほど

もしもあなたを汚すものがあるなら俺が壊しましょう
あなたが望むならあなたを妨げるものそのすべてを
俺が打ち砕きましょう
この手に負うものなど何も気にはなりません
あなたの望みのままに

あなたの指先に触れて
あなたの頬に触れて
あなたの棘に触れて
いくつものものを貰ったら
あなたの前に出て
あなたの思うまま
あなたの為に
俺の全てを捧げます

ああ
いいんです
あなたはあなたのままいてくれたら
俺はあなたの側に立って
あなたが俺を向いた時
あなたの言う通りにできるようにしておきます
あなたと離れなくてはならない時
あなたの邪魔になるものがあるならば退けます

あなたのことを何よりも
この世界の全てよりも愛していますから








「…なあー」
「あ?」
「!!」
「ビビるんなら話しかけてくんじゃねえよ」
「…じゃ、睨むなよ」
「ケンカ売ってんのか?」
「いいいいやいや、違いますよ!これをアナタにあげたくて?」
「ンだよ」
「…アメ」
「誰が食うか、ンなもん」
「えー。うまいのに、リンゴあめ」
「甘いモンは好かん」
「だってお前の技ってさー、ザクロとかカボスとか…あれ?どんな味だっけ?」
「喰らってみるか?」
「わー、遠慮します!いいです!ゴメンナサイ!」
「ケッ」
「こわいよー…」
「うるせえ、なんでンなもん俺に寄越しやがる」
「うまいから…」
「……」
「なんでもないです」

「……なあー」
「あ!?」
「キャー!まだなんも言ってないのに!」
「なんだ」
「リンゴがイヤなら、アタシはどう?」
「……」
「スミマセン、あなたは冗談言っちゃいけないお方でした」
「食えるか!」
「俺ところてんだぞ!百パーセント…いや、ご…と、ところてんだぞ!」
「なにがごだ。思いっきり吹かれてたじゃねえか、賞味期限切れめ」
「ライチ味だぞー。焼いて食ったってうまくなかったんだい」
「…食うならその前にカットしねえとなァ」
「……え?」

(暗転)

「…減った気がしないんですけど」
「誰も食うとは言ってねえ」
「ひでー…」
「うるせえ」
「じゃ、なんのために俺斬られたんだよう」
「もう一度サイコロになりてぇか?」
「イーエ」
「フン」

食わねえし、

誰にも
食わすか。

「ん?なんか言った?」
「言ってねえよ」
「ああん、刺さないでー」
「ウルセーっつってんだよ!」
「じゃ、どーすりゃいーのよ…ギャー!!」







あなたに、ついて行かせてください。

その表情には偽りなき決意があったが、本来ならばそんなものは必要ではない。
心意気ばかり立派であろうと不足があればそれは不足、役に立たねば役立たず。
約束の意思に対し手を伸ばす意味はない。

だがその瞳の奥の紅い煌めき故に、それを許すことにした。


「どうしても、この手でやりたい相手が」

「葬りたい相手がいるんです」

冷たげな表情のまま、響かせる言葉。
だが奥底のどこかで燃えゆがんでいる。
悲しみの炎か。否。
憎しみの炎か。否。
それだけかといえば否であり、それを含むかといえばその限りではない。
その瞳はこちらを見ながら、どこか遠く遠い場所を貫いていた。

紅の、刃。

「問う必要などあるまいな」

彼がただそれだけで追ってくるというのならそれはそれ、
他に何か理由を抱こうとそれはそれ。
例え相手が己であろうと、問う必要は求めない。

「わしは合わせはせん、好きにするがいい」

来られるものならば来て見せろ。

「ただし、無様に沈むならば捨て置くぞ」
「はい」

よい覚悟だ、
ひよっ子よ。
追われる者の名、その理由。
どちらも問う必要などあるまいが、
その執着は貴様を強くする。

「必ず、お役に立ちます」

我を見ながらもどこか遠く、届かぬ場所を見る瞳。
貫く刃、諸刃の剣。
どこまで高みに登るものか、
どこまで焼いて終わるのか。
はたまた終わらず燃え盛るものか。

何ひとつ問うまい。
好きにすればいい。
そうして、何かを見せてみろ。
我を強者と崇め、知らぬ場所に目を細めるひよっ子よ。

「ただ、名は聞いておこうか」


己が底に幾重もの紅を燃やす、
ひよっ子よ。


「…カツです、闇夜叉さん」










破パチはどれもこれもどうしたものか…
OVER天と闇+カツ天の状況に関しては…そ、想像してやってください…

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