短い文章(お題なし)上から菊コン、ルブ&ゴエ&レム、ソニ&絶、ビープとハレルヤランド



甘いもんはそんなに好きじゃないんだが、時に無性に食いたくなることもあるので、
そんな時は別に特に考えることもなく口にすることにしている。
よっぽどそうできない場所でなけりゃあな。

「…お前、そんなん好きだったっけ?」
「あぁ?たまにな」
「ふーん。意外だな」
「そうかよ」
「一本くれ」
「は?」
ものは菓子、ガキが握っていそうな、チョコレートのかかったポッキー。
俺が食ってるよりお前が食ってた方が似合わないだろう。
黙ってりゃな。
「なんでだよ」
「見てたら欲しくなってきた」
「なんだそりゃ」
「くれってばー」
「ああ、うるせえ」
そっちこそこんなモンが好きだなんて聞いたこともねえぞ。
こんなモン、食っているのは俺だがな。
「…ほらよ」
一本、差し出してやる。

ぱくん。

「……」
「?」
「…お前な。ガキじゃないんだから」
口で受け取ってんじゃねーよ。
ポッキー一本、チョコレートの方をくわえたまま、奴は不思議そうな表情をした。
本当に慣れない人間が見たなら無表情、不釣り合いな格好にも見えるかもしれない。
「まあ、いいか」
こくん。そのまま頷くと、差し出した時に俺が摘んだところに手をあてて、大人しく食いだした。
ごくん。
「ありがとーな。うまかった」
「こんなモンがか?」
「なんだ、美味いから食ってるんじゃないのか?」
「無性に甘いモン食いたくなっただけだ」
「へぇ」
お前のことをよく知らない隊員が見たら驚くだろうよ。
ポッキー一本ごときで幸せそうな声を出す男なのかってな。

だがこの男が本当にガキのような奴で、甘いものが好きでもおかしくない輩で、
そして今どんな表情をしているか、俺様にはよく見えているわけだ。

「…もう一本、食うか?」
「もらう」
だから、ガキみたいに即答してんじゃねえよ。


「お前等、あんまりあの男を甘やかすなよ」
「あの男?」
「あ、コンバット様?」
「変な甘え癖ついてるじゃねーか」
「なんで菊之丞様が困るんですか?」
「うるせぇ」
「ガール、菊之丞様は困ってるんじゃないと思うけど」
「お前もうるせえよ」
「だって私達、あの人を甘やかすのがお仕事ですし」
「ねっ」
「…ンなわけねーだろが」

「でも、そんなこと言ったってね」
「菊之丞様だって甘やかしてたじゃないですかー」

「…見てんじゃねーよ!」





結局五本ポッキーを頂いてから菊之丞と別れたコンバット・ブルースは、
廊下で緊張気味に敬礼してきた新人らしき隊員の前で、盛大なくしゃみをしたという。



後日談
「そんなわけで菊之丞、クッキー食う?」
「甘いもん食いたくなった時に食うんだっつったろ」
「なんだ。お前に持ってきたのにー」
「……しょうがねえな」
「よし。あーん」
「するか!」








「おい、時間だぞ」
「解っている」
「どーよ」
「いやもう、全然ムリ。起きん」
「そりゃぁ百年も眠ってたらなァ」
「どんな夢を見てらっしゃるのやら…」
「さあね。この方にとっちゃ夢の中が戦いだ」
「拙者等も眠っていたがな、百年間」
「夢なんざ見たか?」
「いーや」
「ンだよ」
「貴様こそ」
「さあな。忘れた」
「なんだと」
「盗人だった頃の夢は見なかったのかよ?」
「…知らんなあ、そんな頃」
「あっそ」

「おい、とっとと起こさねーとマジで遅れるぜ」
「貴様が起こせ」
「テメーが起こせや」
「断る!」
「俺も御免だね。そもそもあの連中、俺らんとこに辿り着くのか?」
「だが、行かんとハンペン様もお怒りになるだろう」
「やれやれ。まだ寝てんのは三世様とこの人だけか」

「思ったんだが、そもそも起こさんでおいた方がいいんじゃないか?」
「まァな、危ないし…ッてことは」
「このまま運ぶのか」
「テメー運べよ」
「それも断る!百年コンタクト取ってないから幻獣真拳の調子が悪いのだ」
「チッ、めんどくせーヤツ」
「シャボン玉よかマシだ」
「なんだと!」
「なにを!」

「…やってる場合じゃねーよ、バカ」
「その通りだ、馬鹿」
「とっとと行くぞ、時代遅れ」
「誰が時代遅れだ、遊び人」

「バーカ!」
「馬鹿!」

「ひとりぼっちでくたばんなよ」
「拙者の心配をするくらいなら貴様を心配しろ」
「ケッ、阿呆のクセに。ウソくさい偽名考えてる暇があったらかけ算の練習でもしやがれ」
「む、何が偽名だ」
「偽名だろーが。誰一人騙されてない」
「えーい、うるさい!とっとと運ぶぞ」
「俺がだろ」
「…さて」

「レム様」
「連中が来るまで、もう暫しお休みください」
「できりゃぁ、俺等が止めますが」
「我らのリーダーは貴方ですから」


それじゃあ、行きましょうか。








あのですね
ずっとずっと考えていたことがあるんです
この世界は重いことだらけだから
このまま落ちていってしまった方がきっと楽なんだって
迷う理由すらありません
ちっぽけでも光が見えれば縋ってしまいそうだけど
今のところ見えません
それでですね
あなたを見ていて思いました
一緒に戦っていたらふっとしたことで
何も考えずに落ちていけるんじゃないかなって
いいえ落ちるんじゃなくて流れにのって沈んでいけるんじゃないかって
きっとすごく気持ちよく終わっていけるんじゃないかって
だからあなたと戦わせてくれませんか
できることはしようと思います
お役にも立ちたいと思います
その代わりその時がきたら
ただ眠らせてほしいんです


俺の側で戦う
不思議なことを言うな
自分では考えることもなかったが
そんなことが出来ると思うか
そうだな
紐を並べて協力しようと思えばできるかもしれないが
やろうと思わなければだめだ
沈むことばかり考えているならだめだ
上がったり下がったり忙しいのが俺の戦い方だから
それに合わせられないようならだめだ
まず上がることを考えろ
無理なら沈まないことを考えろ
俺はお前に希望を見せてやれないが
希望の在処など知らないが
勝手に眠ることは許さない
お前の意思を飲み込んではやれない
それでも俺の側で戦うと言うなら
俺の戦場に入れてやる








どこか冷たくて、そして、綺麗な人だと思った。


「メガファン兄者」
「なんだよ?」
「兄者、ハレクラニ様が笑ってらっしゃるところを見たことあるか?」
「そりゃあ、ないことはないが…いきなり何だ、ビープ」
「覇王兄者は?」
「お笑いになることなら、あるだろう」
「見たことは?」
「さあな」
「……」

どんな格好をしても、どんな顔をしても、綺麗な人だ。
強いお方だから泣いているところは見たことがないが、きっと綺麗なのだと思う。
でも、笑っているところも見たことはなかった。

「ハレクラニ様?笑う時は笑ってらっしゃるじゃないか」
「そういう、フッて感じのじゃなくてさ。にこって感じの」
「そういう方じゃないだろう」
「T-500、お前は?」
「必要ない」
「ないって…」
「ハレクラニ様ご自身がお望みになる時、そうすればいい」
「お前、冷めてるなあ」
「そんなに気になるのか?ビープ」
「ガルベルは気にならないか?」
「…まあ、そう言われれば」

心から噛み締めて零れる笑み。
あの方は、どんな風に微笑むのだろう。
時折見せる笑みはとても綺麗なのだけど、まるで幻のようでもあるのだ。

あの方の笑顔が見たい。

それを引き出すためのあの方への本当の幸せを、
どうすれば差し上げることができるだろう。

「それは、我々のするところではないな」
「…そうかな」
「無理に探すだの引き出すだの、そのようなものではない」
「…そうだね」
「けど俺も解る気がするな。そうなったらいい、ってそんな感じだろ?」
「だが、ハレクラニ様が望まぬのなら意味もないのだ」
「…でも、例えば金より信用されてなくったってさ。俺、ハレクラニ様が笑顔でいられたらいいと思うよ」
「ならば戦うことだ」
「戦う?」
「あの方に幸せならずとも、安らぎあるように」
「…安らぎかあ」



「俺さ、末っ子だからって兄者に甘えてるとこがあるかもしれない」
「ふーん…やっぱりそうなのか、兄弟って」
「無意識とか、心の底とかでさ。メガファン兄者は優しいし、覇王兄者は頼りになるから」
「ちょっと贅沢な悩みだな」
「かもな。だから、俺頑張ろうと思うよ」

「それが俺たちと、あの方の」

「ハレクラニ様の笑顔に繋がるなら」

「…きっと、みんなそう思ってる」
「だよな?」
「ビープはバカ正直だからな」
「なんだよ、お前だってそうだろ!」
「なんでだ?」
「何度も一円にされてさ」
「関係ないだろ、それは」
「あるだろ」




ハレクラニ様。
俺の見ていないところでだっていいから、
もし笑いたいぐらいにお幸せでしたら、思うままに笑ってください。

そのために、少しでも頑張ろうと思います。











敵キャラだらけです。Dブロックチームはなんだかんだでレムがリ−ダー、みたいな…
絶望くんとか好き勝手しまくりで、すみません。(他もだ)

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