短い文章(お題なし)上からボビュ?&ソフ魚、パッチ&ビュティ&天、ハン天田天



「ソフトン様、素敵よね」
「え?」
魚雷ガールの呟きにビュティは反射的に目をやった。
それが自分に対するものだと気付いたのは、もう数秒ほど後だ。
「う、うん。いい人だと思うけど、どうしていきなり…」
「あの馬鹿どもはソフトン様に甘えすぎよ」
馬鹿ども、というのが誰を指しているかはっきりとは解らなかったが、恐らく首領パッチと天の助は含まれているだろう。
ボーボボは含むのだろうか。田楽マンはどうか。
仲が悪いようだから、彼女の中では破天荒も馬鹿どもに入っているかもしれない。
「甘える?」
「失礼なこと、言いすぎ」
「嫌いだとかそんなことじゃないんだろうけど…」
「でしょうね。だからおふざけってこと」
確かに時折ハジケの延長にソフトンが巻き込まれ、冷静というかマイペースに流している姿ならよく見るが。
「あなた、ちょっと羨ましいわ。ソフトン様によく守っていただいて」
「あ…ごめんなさい」
「謝ることないじゃない。ソフトン様のご意思だし」
魚雷ガ−ルはの様子からは確かに、怒りなどは感じなかった。
「それに自分の身なら自分で守れるわ」
「魚雷さん、強いもんね」

魚雷ガールと行動するようになって時に忘れかけることもあるが、彼女はOVERだ。
否、OVERが魚雷ガールであると言った方が正しいだろうか。
OVERはマルハーゲ四天王で、ボーボボを憎み、おふざけを無視し、天の助を敵視する。
魚雷ガールはボケ殺しで、ソフトンを愛し、おふざけを嫌い、どうも天の助には厳しい気もする。
ああして変身する姿を目の当たりにしていなければ信じなかっただろう。

「それにしてもソフトン様、素敵。大人ね」
「魚雷さんも大人っぽいよ」
決しておばさんだと言いたいのではなく、人間タイプでない彼女の年齢をはっきりと感じることはないが、
同じ女として何となく大人なのだと思うことはある。
時に大人げのなさを感じることも、なくもないけれど。
(…女、なのかな?)
OVERは男。魚雷ガールは女。同じ存在、異なる意識。
「私ってさ、子供っぽいよね」
「そうかしら?」
「そう思わない?」
「どうして?」
ビュティは恥ずかしげに笑いながら首を振った。
「そうでなければ嬉しいけど」
「だって、大の大人があなたに甘えているじゃない」
「…大の大人?」
首領パッチの年齢は不詳だが、大の大人とは言うまい。
天の助は年齢を考えれば大人だがビュティに甘えることはそうはない。
田楽マンは子供に入るだろう。
「……ボ、ボーボボ?」
「違う?」
「そんな、まさか」
ボーボボは強い男だ。自分はむしろ守られているぐらいで、甘えてくることがどうしてあろうか。
甘えるなんて。

ふいに、視界の中にボーボボの姿が入った。
ソフトンと何ごとか話していて、ソフトンの肩には田楽マンが乗っかっている。
なぜかボーボボだけ必要以上に大きく見える気がした。

(…元から大きいんだ)

熱くなってきた頬をごしごしと擦りながら、ビュティは何も口には出さない。
魚雷ガールにはビュティの表情が見えていたろうが、やはり何も言わなかった。








「あ、ビュティ!」

「なぁに?天の助君?」

「ここ、ここ!こっち」
「ああなんだ、なに…わ、首領パッチ君?」
「しー」
「ん、うん……なんで首領パッチ君が天の助君に抱っこされて寝てるの?」
「遊んでだらさ、いつの間にか寝てたんだよコイツ」
「いつの間にかって…あるのそんなこと!?」
「しー」
「あっ…ごめん」

「首領パッチ君て、寝てると静かだね」
「さっきまで鼾が物凄かったぞー」
「へえ」
「なんかあれだ、新たな敵バラット軍が攻めてきたらしい」
「…どんな夢、見てたんだろね」

「あのさ、ビュティ」
「うん」
「こんなこと頼んで悪いんだけどさ」
「なーに?」
「こいつ、預かってくんね?」
「え?私が?」
「俺のところてんセンサーによるとデコッパチがこのバカを探してる気がするんだ…」
「うん、まあ破天荒さんだからね…って、それが何かあるの?」
「こんなとこ見られたらロックされちゃう」
「いや、まさかぁ」
「わかんねーじゃん。でもビュティなら怒ることもねーと思うんだ」
「そ、そうかなあ…誰にしたっていい顔しないかもよ」
「でも、俺なんかノーカウントで鍵がブッ飛んでくる気がすんだよな…」
「……うーん」
「このまんま放り出してもいいんだけどさあ…こいつ、あんま気持ち良さそうに寝てるから」
「そうだねぇ」
「重くはないんだけどなー」
「…よし。いいよ」
「マジで!?」
「しー」
「…でした」

「…起こさない、ように」
「ね」

「ふう」
「ホントだ、軽いね」
「だろ」
「幸せそうに寝てるねえ」
「だな」

「ねえ、天の助君」
「……」
「…天の助君?」
「………」
「…寝ちゃった?」


「あれは…ん?田楽マン」
「あ、ソフトンなのらー」
「破天荒はあんなところで何をしてるんだ?確か首領パッチを探していたんだろう」
「見付けたことには見付かったのら」
「どこに?」
「あそこ」

「…一人起こしたら、三人とも起きるのら」
「…だろうな」
「首領パッチの邪魔はしたくないしで、ああして立ち止まって遠巻きに見てるみたいなのら」
「…そうか」
「オレもねむくなってきた…」
「待て、ここで寝るな。…ふう」

「出発は、もう少し先だな」








白く歯ごたえ柔らかく、脆さと弾力の絶妙なバランスを保つ『あの』塊の巨大な影。
否、実際は大した質量ではないが、視界から外れた場所にあるそれはとても重かった。
そして大きく。大きく、大きく、大きく大きく大きく。

「…ッあー!!」

天の助がばしり、と立ち上がった拍子に、彼の頭に積み上がった影が支えを失い崩れた。
「あー!」
「ああー!」
首領パッチと田楽マンの悲鳴が響く。
するとそこにボーボボの影が躍り出て、木桶を差し出しその『影』を受け止めた。
ばしゃん。ぺしゃん。ぱしん。
「…フッ」
決して固くはないそれを形崩さず見事に桶におさめ、ボーボボはニヒルに息を吐いた。

そこに残ったのは天の助の荒い吐息と、唯一受け止められなかった濡れた板。

「あーあ、天の助が動いたせいで豆腐タワーが崩れたぜー」
首領パッチの溜息も響く。
「すんなよーッ!」
次いで、天の助の悲鳴が広がった。

マルハーゲ帝国新皇帝、ツルリーナ五世決定戦の真っ最中。
ハロンオニの金バッジを入手したのに気を良くしたボーボボ一行。
更に大量のバッジを得るべく勢いのさま突っ走っていた。
だが移動手段であるソリをひくワンパッチとワンの助が疲れたからもーヤダと言うので、
一時的に徒歩に切り替えたところである。
スピードはないものの落ち着いた雰囲気。
皆が和やかになったところで、さっそく豆腐積み大会が開催された。
会場はえらく不安定な天の助の頭上の上に乗せた板の更に上であった。

「イジメだ!イジメだ!俺が豆腐嫌いなの知ってんでしょ!」
「バカヤロー、そんなんだからお前猫舌なんだよ!」
「チキショー!」
口喧嘩する天の助と首領パッチ、無言で見守るソフトン、呆れるビュティとヘッポコ丸。
一方田楽マンはボーボボを見ながらがくがくと震えていた。
「く、崩れていない…それどころか1ミリのずれも…恐ろしい子!」
「先生!やりました、あたし!」
豆腐を見事に受け止め積み上げたボーボボは豆腐積み大会の優勝に決定だった。
しかし参加者の一人と会場がケンカをはじめたのでもう表彰どころではない。
「味噌汁には豆腐なんだよ!絹ごしなんだよ!」
「ナメコだろ!ワカメだろ!」
ところてんでありながら普通にカレーなどを食す天の助は、豆腐をあくまで否定する。

「ふん。甘いな」

そこに首領パッチとは別方向から声が響いた。
ボーボボではなく田楽マンとも違い、ビュティでなければヘッポコ丸でもソフトンでもない。
天の助を含め全員がそちらに注目する。
「…チッ、練り製品め」
「ハンペンさん」
天の助の恨みがましい声に続いて、ビュティの声が彼の名を呼んだ。
ハロンオニ戦で(鼻から)登場した旧Aブロック隊長は、未だ一行と共に行動している。
「お前は豆腐の恐ろしさを知らねーからそんなこと言えんだよ」
「お主こそ、食の王者に立てば恐るるべきものなど無いと理解しないわけではあるまい」
天の助とハンペンとの間にちりちりと火花が散った。
食品ではない連中にしてみればいまいちすんなりとは耳に通らない話だ。
「落ち着けよ、二人とも…」
「止めてくれるな!」
ヘッポコ丸が思わず前に出たが、天の助に制される。
「こちとら三十四年ところてんやってんだぜ。透けてない練り物にやられて堪るか」
「ふん、三十四年ごときでこの食王に取って変わろうとはヒヨッコめ…」
更に継続する睨み合い。
再びヘッポコ丸が割って入ろうとしたところで、別の声が流れを断ち切った。

「バッカみたいなのら」

「なにー!」
「なんだと」
「心太やハンペンなんかよりそれだけでイケる田楽のがすごいのらー」
「なんだとコラー!」
別の声の主、田楽マンに飛びかかる天の助。やるかオラ、と対抗する田楽マン。
両者の間に新たな火花が散る。
「…フン」
やや出遅れたハンペンは小さく息を吐いた。

数分後、天の助が落ちついて一行は先程よりは静かになった。
後ろに下がってとてとてと歩く田楽マンの、その横にさりげなくハンペンが並ぶ。
「ワシに勝てると思ったか、チビっ子」
「んー?」
「食王の座はそんなに容易いものではないぞ」
「オレは食品じゃなくて犬だからきょーみないのらー。その辺りは好きにすればいいのら」
「なに?」
ハンペンが首を曲げて田楽マンに目をやった頃には、
彼はすたこらと前の方に走って行ってしまっていた。

前方に目をやると、小さな白いチビっ子はソフトンの肩の上。
そこから下の方に目をやって、天の助のことを何ごとかからかっているようだった。
ハンペンは暫し沈黙するも、歩みを止めず一行と共に進んだ。


気になるものが二つある。恐らくは側にいる仲間達の行方と、ある若造と。








ボーボボ一行女性陣会話、魚雷先生の性格が何故かこんなことに。
パチビュ天は基本的には平和な報告で、ハン天田天は受け攻めをあまり考えず…

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