この文章におきましては、ボボボーボ・ボーボボのキャラクターがノリで必要以上にハジケている可能性がございます。苦手な方はご注意ください。
また、カップリング要素としまして若干様々なものが含まれます。(ものによっては濃く、ものによっては薄く)
↓の中に苦手なものがある方もご注意ください。(白文字)
ボビュ、破パチ、屁天、ソフ魚、軍スズ、ギガハレ、OVER天?、ボ軍?




これより劇団ボボボーボ・ボーボボと愉快なその他どもによるシンデレラを上演いたします。




シンデレラ…ビュティ
父…破天荒
王子…ヘッポコ丸
大臣…ボボボーボ・ボーボボ
魔法使い…ソフトン
ねずみ(馬)…田楽マン
馬車…田楽
継母…魚雷ガール
姉その1…首領パッチ
姉その2…ところ天の助
ナレーター…サービスマン




『なお、キャストは都合により変更される可能性がございます。』





『シンデレラ』






今は昔、ある帝国の大きな館。
そこにはかつて仲の良い三人の親子が暮らしていましたが、母親は流行り病に倒れてしまいました。
父ボーボボはその暫し後、別の女性と再婚しました。
女性には二人の娘がおり、その家には五人が暮らすこととなりました。


しかしその後父親が亡くなってしまうと、女性とその二人の子供は残された娘を苛めるようになったのです。




「何故私が女役なのだ!」
女性?の名はハレクラニ。何か理不尽なものを感じずにはいられないようです。
彼、いや彼女の娘達の名はOVER、そしてプルプーといいました。
「あァ!?どーして俺まで女だ、コラァ!」
「初っ端から台本もクソもないですね、皆さん」
親子のチームワークはバラバラです。
それはさておき、残された娘はシンデレラと呼ばれていました。

「お姉様、どうして私を苛めるのです?」

「ノってる!」
「ノってやがる…!」
「……」
ちなみに彼女の本当の名前は軍艦というのでした。
姉二人はビックリ。継母は早くもツッコミを放棄しています。
「私が何をしたっていうの…!そんな冷たい目で見られるなんて!お母様とお姉様のバカッ!」
シンデレラはノリノリです。
それはそれで、なかなか可愛らしいものがあります。


「…ンなシーンあったか?」
「アドリブだ」
「…つまらんな」
「なんだと!お前等、おもてに出ろ!」
「おもてに出ちゃ話が進まないんですって」


シンデレラは四人の中で一番体格が良いような気もしますが、どこか可憐で、しとやかさを持ち、優しさを忘れぬ乙女でした。
お使いに街へ出れば、転んだ少年を勇気づけてやり、同じ様に使いに出て品をひとつ失くしてしまった少女を手伝ってあげたこともあります。
そんな彼女に継母は言いました。
「今日は王宮で五代目帝王決定戦が行われるが…」
帝国には、皇帝の座は戦って勝ち取るものだという厳しい掟があります。五十年ぶりに行われる決定戦には全世界の血みなぎりしたたる猛者達が集結するのでした。
「四天王最弱(仮)のお前は置いていく」
「最弱!?ひどッ!誰がそんなこと言ったの、お母様」
「うるさい。お前はボボボーボ・ボーボボ第五巻でも読んでいろ」
シンデレラはコミックスをめくりました。
「…おねーさまじゃない!酷いわ!」
軍艦、もといシンデレラを一番のザコと言い切っていたのはプルプーでした。
怒るシンデレラに対してプルプーは煙草を差し出します。
「まあまあ、そう怒らずにこれでも吸って」
「あらドーモ」
シンデレラの喫煙シーンですが、彼女は二十八になりますので問題ございません。

「…オイ。どうでもいいからとっとと終わらすぞ(このシーンを)」
「よし。では出発する」


継母と二人の姉はシンデレラを置いて、電車で王宮まで出かけていってしまいました。






「…お母様とお姉様は帝王決定戦。そして私はお留守番…」
シンデレラは小さく溜息を吐きながら、友達のお茶漬け星人と一緒にお茶漬けをかっ込んでおりました。
「解っているわ、私には相応しくないって。だって今の私には自慢のリーゼントがないんですもの…!」
シンデレラのリーゼントは、OVERお姉様の長い髪を寝ている間にこっそりリーゼントにしようとしたのがバレて狩られてしまったのです。
「まあお茶漬け食って元気を出してください、シンデレラ」
「ええ。洋食万歳…」
優しいお茶漬け星人にお茶を足してもらい、シンデレラは頷きました。

「その願い、俺が叶えよう!」

突然、爽やかな声が響きました。
「誰!?」
「ここだ」
そこにいたのは渦巻き頭のクールガイでした。
「うわあ、インパクト大!」
お茶漬け星人もビックリ。
「俺はソフトン、魔法使いだ。…お前が望むのならば、帝王決定戦に出場できるようにしてやろう」
「ほ、本当に…?」
「その為にここに来た。バビロン神様のお力を借りて」
ソフトンは腕を胸の前に交差させました。
「バビ・ロン!」

ガシン。
巨大な神々しいシルエットが見えたかと思うと、光が弾けます。

「…ハッ!リーゼントが元に!」
「これで決定戦に行けるだろう」
「ありがとう、魔法使いさん!でも今からで間に合うかしら…」
「…ならば」
ソフトンは館の外を指差しました。
「あれに乗るといい」
そこにはインパクトの大きい車の姿が!
「うわ、すげ!」
色は可愛らしい桃色です。
ソフトンは腕を組み、考えこむ顔をしました。
「速い馬が必要だな」
「車なのに!?」
シンデレラがツッコミます。
そんな彼女の横で、お茶漬け星人が手(?)を挙げました。
「ならば俺が…」
「お茶漬け星人さん!いいの?」
「お茶漬け星の誇りにかけて、確かにあなたを王宮まで運びましょう」
「解った」
頷いて、ソフトンはお茶漬け星人に魔法をかけました。
するとお茶漬け星人は四足歩行のお茶漬け星人となりました。
「姿そのまま!?」
「あとは御者か。よし」
パチン、と指の鳴る音がします。
すると、シンデレラの前に小さな白い生き物が現れました。
「まあ、愛らしい!」
「田楽マン。頼んだ」
「任せな。チッ、仕方ねェ奴らだぜ」
「まあ、憎たらしい!」
田楽マンと呼ばれた御者は、お茶漬け星人の上にどっかと乗っかります。
「さあ、箱根を流しに行くか」
「行かねーよ!」


「魔法使いさん。何から何までありがとう」
「気にするな。大会を楽しんでくるといい」
シンデレラは王宮へと出発しました。
「……さて…」
それを見送ると、ソフトンは遠くにそびえ立つ巨大な王宮を見上げました。





王宮では『五代目帝王決定戦、きみも明日の一番星を目指せ!』が急遽中止され、王子のお妃を決めるパーティーが開催されておりました。
というのも王子は女性に優しいのに恋愛には興味がなく、好かれようともなかなか振り向かないものですから、焦れた王様は彼にロマンチックな出会いを演出しようと決定戦を延期にしてしまったのです。
だが参加者達はそんなことは聞いちゃいない。もう既に各所で血で血を洗うパーティーが始まっています。
「ふう、めんどくせーな」
かったるそうに溜息をつくのは王子、ボボボーボ・ボーボボ!
彼は側近のビュティ、ヘッポコ丸、破天荒、トゲ、ところてんを引き連れこのパーティ−に参加しています。
父、ツルリーナ四世からは来賓と交流するようにと言われていますが、さっぱりその気がありません。
「いや、おかしくない!?」
「なにが?」
「なんでボーボボが王子で他みんな部下なの!?最初の配役表と違いすぎるよ!」
「ああ、都合によりちょっとだけ変わったよなー」
「ちょっとどころじゃないよ!」
側近ビュティが叫びますが、側近首領パッチ的には大したことではありません。
「おやびん、お望みのケーキです」
「お、破天荒。ミルクレープ取ってきたかミルクレープ!」
したがって側近破天荒にとっても大したことではありませんでした。いったい彼は誰の側近なのか、むしろそれが問題です。
「どいつもこいつも化粧濃いったらないわよね〜」
「ホントホント」
ボボ美と天子が呆れています。
「いや、君たちだよ!」
言うまでもなくボーボボ王子と側近天の助でした。
この展開で自分は何をしたらいいか解らない側近ヘッポコ丸は、大人しく座ってジュースを飲んでいます。


そこにインパクト大のあの車が来たぞォー!


「キャー!」
はしる衝撃。
その風圧に、ボーボボ王子はビュティを庇います。ついでに首領パッチと天の助を盾にします。ヘッポコ丸もどうにか自分の身を守り、破天荒はおやびーん、と叫びました。おやびんはところてんと一緒に盾にされています。
「たのもう!」
あの車から現れたのは僕らのシンデレラ。
ドアを開けたのはお茶漬け星人でした。御者田楽は、突入時のあまりの衝撃に気絶してノビている有様です。
「お前は誰だー!」
ボーボボ王子が問いました。
会場の視線もそこに集中、
しません。
彼らのパーティもまだ、そうまだ始まったばかりなのです。荒くれ者達は瞳に光、拳に血潮、足首に重力、それぞれが睨み合ってそれどころではありません。
「久しぶりだな…我が永遠のライバル、ボボボーボ・ボーボボよ!」


「お前、お前、お前は…ケンちゃん!」
「そうだよ、タっくん!」


「ケンちゃーん!」
「タっくーん!」











つづく

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